それは美しい世界_WELLSの白いひげの男性編


イングランドのBATH(バース)から次の場所へと向かう旅の途中、レンタカーが手配できない!というトラブルからWELLS(ウェルズ)の思い出が始まりました。旅にトラブルはつきものです。はじめての国ではいつだって何かしらの思わぬ事態が起こったりしますし、その都度、人の助けを借りる思い出ができます。


今回は、レンタカー屋さんで対応してくれた女の子の彼氏の車でWELLSに辿り着くことができたものの、こんな田舎で車がない生活をしばらく続けることになるとは、、一体どう過ごしたらいいものか、、不安が募ります。とはいえ、もう後戻りはできません。


家の庭から見たのどかな風景


滞在先の宿主エドに車がない事情を伝えると、タクシー会社の名刺をいくつかと、バスの時刻表を手当たり次第に集めてくれました。これでひとまず大丈夫なのか。。バスは1日に4本。Uberもほとんど見込みがなさそうな田舎です。

いろいろ教えてくれるエド


もっとも、私は絵を描きに田舎まできたわけだし、引きこもるにはちょうどいいかもしれないなと思いつつ、翌日はお水などを買いに早速バスに乗ってみることになりました。バスを待つ時間に寄り道した緑が美しい丘の上で、可愛いらしい野うさぎをたくさん見たのは夢のような時間でした。その丘の先にはグラストンベリーの塔まで見えて、とても見渡しのいい丘だったので、私はすぐに不安がなくなり幸せな気持ちに満たされていました。

いい場所を見つけた。またゆっくりこよう。


グラストンベリーの塔が見える、みどりの丘


しばらくすると、普通のバスの半分もないくらいのサイズの可愛いらしい青色のバスが到着しました。運転手さんは見慣れない私に、こんにちは。と挨拶しました。向かったのは、イギリスではおなじみのウェイトローズというスーパー。しかし小さな街のWELLSのウェイトローズに着くなり、私は驚きました。「ここはきたことがある!」とすぐにわかったのです。ちょうど1年ほど前のクリスマスに訪れた同じ場所でした。未来は、本当に不思議なものです。思いがけず、時と場所が重なることがこうして起こるなんて。まさか1年後の私はこの場所でしばらく暮らすことになるなんて想像もできませんでした。




次のバスの時間まで時間があるので、ウエルズ大聖堂まで歩いてみたり、少しの散歩を楽しんだあと、お水と野菜などを多めに買いこんで、帰りのバス停を探して一人、待ちました。

しかし、時間になってもバスがきません。Googleマップで表記されるバス停の場所には、それらしき標識すら見当たりません。不安になり、やっと通りがかった男性に尋ねると、「ここにはバスはこないよ」と言うのです。男性は言いました。「どこへ向かうんだい?」

「ウーキーホールの近くです」「ウーキーホール!それならちょうど私も今から向かうところなんだよ。一緒に行こう!」男性は、ウーキーホールのホテルの従業員であることを教えてくれた上に、毎日歩いて通っているから一緒に歩いていこうと私に言いました。

しかし私はすぐさま断りました。とても重たい買い物をしているし、Googleマップによると歩いて30分はかかると出ています。その上、随分傾斜のある上り坂が続きます。私はそう男性に伝えましたが、「荷物は僕が持つよ。」といって、私の荷物を持ち、一緒に歩こうと言います。

バスはこないし、タクシーもない。ウーキーホールのホテルのバッチをつけた2人の男性は、少しも怖い感じはありません。むしろ美しい微細な輝きを放って見えます。もう80才も超えているかもしれないような真っ白い髪がベレー帽から見え、ふわふわの白いヒゲを生やしていて、優しい眼差しでわたしを助けようとしていました。白髪のおじいさんに私の重たい荷物を持たせて上り坂を歩かせるなんて、、、という思いがありつつも、180cmくらいの長身もあるのに、背筋がまっすぐでとても元気そうに若々しさを放っていました。



この小さな街の人は、お年寄りも、足が不自由な人でも、なぜか美しく、瞳が輝いて見えました。美しいものしか見ていない人たちみたいに美しい輝き。

大人の瞳が子どもよりも濁っているように見えるのは、きっと見ている世界が濁っているから。私はそう思うから、この小さな街の人たちの瞳の輝きに心を奪われたのです。


その男性はいろんな話をしてくれました。飛行機が苦手なこと、自分は他の国には行かないということ。戦争の話も少し。だけどわたしは、この先まだ随分と長い上り坂のことを考えると、途中のバス亭で最後のバスを待つことを伝えて、お礼とお別れを言いました。


そして私は、なにもわからない小さな土地の住宅街の中でひとり、バスを待ちました。人が全くいなくてただ一人、少し不安にもなりましたが、一つ一つの家の庭には綺麗な花が咲いていて、豊かさと優しさを感じることができたので、見ていると不安はやわらぎました。最悪は歩けばどうにかなります。


しばらくすると、可愛らしい青のバスが見えてきました!安心してバスに乗り込むと、行きしに挨拶した運転手さんが不思議そうに言いました。「なぜこんなところから乗ってくるのかい?」事情を伝えると、バスに乗っている間中、運転手さんの隣に立って、バス停の場所についていろいろと教えてくれました。その小さな巡回バスは、この地域のことをなんでも知っています。バスに乗って来る人もみんな顔馴染みのようで、バス停じゃなくても家の前で御老人を降ろしたりもしていました。きっと誰かひとりでもしばらく顔を見せないと、すぐに気がつくだろうな。


さて、目的地のウーキーホールにつくと、一緒に歩いてくれた白ひげの男性が、大きく手を降って笑っていました。なんだかもう友達みたいだな。昨日来たばかりなのに嬉しい感じ。この場所についてすぐ、もうみんなに助けられて生きている私。


この街に着いたその日の夕方に、滞在先の家の上にピンクの虹がかかりました。ファンタジーのはじまり。牛、羊、ヤギ、鳥たちと、草花とともにくらす美しい場所。ひっそりとある見晴らしのいい緑の丘にはたくさんの野ウサギが遊び、小さな教会の入り口にはとても美しい花がたくさん咲いていて、大好きなグラストンベリーの丘が見える愛にあふれた可愛い家。


WELLSのビショップパレスは、エデンの園のように美しい輝きを保っていて、毎週開催されるファーマーズマーケットでは、地域のお年寄りたちが、生バンドをカッコよく演奏していました。足が不自由なおばあさんは真っ赤なステキな服を着て、なぜあんなに輝く瞳をいつまでも保っているのだろう。

平均年齢かなり高め。ノリノリのカッコいい曲を演奏して、みんなを楽しませていました。司会のおじさんも楽しそう。みんな大好き地元バンド。


愛するお庭の景色。毎日ここで食事をする時間に、この上ない豊かさを感じました。

未来の私が、時空を超えてまたここにいるのだと確信しています。


MAMI


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